顕微授精のタイミングと胚の品質
12月8日、スペインの研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、顕微授精において、裸化処理前の培養時間と胚の品質には関連性があると示した。
裸化処理では、培養後、卵子から卵丘細胞(卵子を覆う顆粒状の細胞)を除去する。今回、裸化処理前の培養時間が長くなるほど、胚の成熟は促されると報告された。
裸化処理から顕微授精までの時間が臨床結果に対して与える影響
研究チームは、2019年1月から2023年7月の期間、不妊治療サイクル1538回を対象に後ろ向きコホート研究(レトロスペクティブコホート研究)を実施し、裸化処理から顕微授精までの時間が臨床結果に対して与える影響について検証した。
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)投与、採卵、排卵誘発、裸化処理、顕微授精の間隔に基づき卵子の成熟率、受精率、胚の品質、臨床結果を評価したところ、hCG投与から裸化処理までの時間は、卵子の成熟度と有意に関連することが認められた。
hCG投与から裸化処理までの時間が長くなるほど卵子の成熟率は上昇し、未成熟率は低下した。
あわせて、裸化処理から顕微授精までの時間と胚の質において関連性が示された。裸化処理から顕微授精までの時間が短くなるほどグレードが高い胚盤胞の割合は多くなり、グレードが低い胚盤胞の割合は少なくなった。
これより、裸化処理前の培養時間に伴い、卵子の成熟は促される。一方、裸化処理から顕微授精までの時間は、臨床結果に対して影響を与えないという。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)

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