出生前の殺虫剤曝露による危険性
8月18日、アメリカの研究チームは、「JAMA Neurology」にて、出生前のクロルピリホス曝露は、子供の脳発達に対して長期的な影響を及ぼすと示した。
クロルピリホスは、有機リン系殺虫剤として広く使用されている。今回、出生前のクロルピリホス曝露によって子供の脳発達に異常が生じ、幼児期後期から思春期初期の運動能力は低下すると報告された。
出生前のクロルピリホス曝露と子供の脳発達における関係性
研究チームは、1998年1月から2015年の期間、学童期の子供270人(6~14歳、少年123人、少女147人)を対象に、出生前のクロルピリホス曝露と子供の脳発達における関係性について検証した。
出産翌日の採血と臍帯血から母親のクロルピリホス濃度を測定し、6歳以上の子供に対して磁気共鳴画像(MRI)検査を行ったところ、出生前クロルピリホス曝露と子供の運動機能の低下に関連性が認められた。
出生前のクロルピリホス曝露量の増加に伴い、子供の脳の構造・機能・代謝は大きく変化する。前頭葉・側頭葉・後下葉の皮質は厚くなり、白質(神経線維で構成される領域)の体積が減少して白質への分化に変化が生じ、脳全体の血流や代謝は低下した。
クロルピリホスは酸化ストレスと炎症を引き起こし、子供の脳機能および運動機能に対して長期に亘って悪影響を及ぼす。
(画像はJAMA Neurologyより)

JAMA Neurology
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