胚移植における良好胚の重要性
今月初旬、イギリス生殖協会の2017年年次会議(スコットランド・エディンバラ)にて、ナーチャ・ファティリティクリニックのニック・レイン・フェニング(Nick Raine-Fenning)医長は、胚2個を同時移植する際に片方が質の低い胚である場合、体外受精の成功率が約25%まで下がると発表した。
胚移植では胚の個数より胚の質が重要になり、移植胚の個数を増やしても体外受精の成功率が倍増することはないという。
胚の質と体外受精成功率
臨床試験は2009年から2013年に掛けて行われ、新鮮胚(単一胚と重複胚)1472個を受精後5日目に子宮移植した。
質の高い胚を質の低い胚と同意移植した場合、良好胚1個の移植と比べ、体外受精の成功率は27%減少した。
一方、良好胚2個の同時移植における妊娠可能性は、良好胚1個と大差なかったという。質の低い胚2個を同時移植した場合、妊娠可能性は質の低い胚1個より高くなる結果となった。
レイン・フェニング医長は、子宮内膜は質の高い胚を受け入れるが、質の低い胚に対して拒絶反応を起こす為、着床率が下がると述べている。また、特に高齢出産になる場合、胚1個を移植し、残りは凍結保存することを提唱している。
多胎妊娠の減少
近年、イギリスでは、体外受精における多胎妊娠率が劇的に減少し、体外受精の成功率(出生率)は増加している。その背景には、イギリス生殖協会が良好胚1個を子宮移植するように推奨していることがある。
多胎妊娠は母体にとって大きな負担となり、体外受精による多胎妊娠では、胎児の先天的疾病、低出生体重児、死産のリスクを高めるといわれる。
(画像はPixabayより)

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