子宮の受容期間
これまで、子宮が受精卵(胚)を受け入れる期間(受容期間)は2日から4日間であり、受容期間は一定のサイクルで繰り返されると考えられてきた。
しかしながら、最近の研究により、受容期間には個人差があり、サイクルにおいては数日間の誤差が生じると判明した。
受容期間外に受精卵移植を行った場合、受精卵(胚)は子宮に着床できない。体外受精の主な失敗要因は、受精卵移植するタイミングの見誤りであるという。
IVIクリニック・マドリードのフアン・ガルシア・ベラスコ教授(Juan Garcia-Velasco)は、受精卵移植の失敗において、約15%は移植タイミングの見誤りが要因であると述べている。
子宮内膜着床能(ERA)検査
ガルシア・ベラスコ教授の研究チームは、新たな検査方法「子宮内膜着床能(ERA)検査」を考案した。子宮内膜の生体組織検査を行い、子宮内膜が着床可能状態にあるかどうかを遺伝子レベルで調べる検査であるという。
また、検査結果より個々の生殖周期や受容期間が予測でき、受精卵移植に最適なタイミングを割り出すことが可能となる。
教授は、最良の受精卵を選び出し、最適なタイミングにて受精卵移植を行うことで、体外受精の成功率は高まると述べている。
受精卵移植の失敗が3回以上の若い女性、あるいは、受精卵移植の失敗が2回以上で37歳以上の女性に対して、検査を推奨するという。
ERA検査の可能性
受精卵移植を失敗した17人の女性を対象に予備実験を行ったところ、9人は体外受精により妊娠・出産に至った。
現在、ガルシア・ベラスコ教授の研究チームは、受精卵移植の失敗経験のある2500人の女性を対象に国際的な臨床実験を実施中だという。
専門家らは、EAR検査により、近年、体外受精の成功率が停滞している理由が解明され、成功率が高まると期待している。
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BioNews
http://www.bionews.org.uk/dailymail
http://www.dailymail.co.uk/health/theguardian
http://www.theguardian.com/society/2015/