大気汚染物質が生殖機能に与える影響
サンパウロ大学の研究チームは3月24日、米国内分泌学会「ENDO 2019」(3月23~26日、米国ニューオーリンズで開催)にて、マウスを用いた実験より、大気汚染物質が精子の生産量を減少させたと発表した。
同大学のエレイン・マリア・フラド・コスタ(Elaine Maria Frade Costa)教授は、世界的に不妊率は増加しているが、大気汚染が一因であると考えられると述べる。
微粒子状物質とは
微粒子状物質(PM2.5)は大気中の液体と固体の混合物であり、車の排気ガス、火力発電、工場・産業廃棄物に含まれている。直径2.5マイクロメーター以下の目に見えない微小粒子物質であり、空気とともに鼻や口から吸入される。
また、PM2.5は、ヒト、動物における生殖機能を含む内分泌系システムを攪乱するといわれる。精子生産など生殖機能は、PM2.5により悪影響を受ける。
微粒子状物質と精子生産における関係性
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、微粒子状物質と精子生産における関係性を検証した。また、DNA検査により、タンパク質に指示を与えるDNAにおける遺伝子発現を評価した。
在胎中、出生後の離乳後から成人までの期間、サンパウロの大気に含まれるPM2.5曝露を受けた場合、PM2.5に晒されていないマウスと比べ、精子の質が顕著に低下した。
PM2.5曝露により、精子生産量の低下、精巣細胞機能に関連する遺伝子量の変化が認められた。特に、出生後、PM2.5に晒されたマウスは、精巣機能が最もPM2.5の影響を受けた。
コスタ教授は、PM2.5がDNAシークエンス(DNA構成物における結合順序の決定、遺伝子情報の解析)における変化ではなく、エピジェネティクスな変化を生じさせると述べる。
マウスを用いた動物モデル実験を通して、出生後にPM2.5曝露は、エピジェネティックな変化を引き起こし、精子生産量を減少させると結論付けている。
(画像はプレスリリースより)

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