ソーシャルメディアによる流産体験の共有
トーマス・ジェファーソン大学の研究チームは、「Obstetrics & Gynecology」(12月5日)にて、流産を経験した女性は、家族や友人といった近しい間柄では話せない内容をソーシャルメディアに投稿し、流産の精神的苦痛を打ち明けることにより苦痛を共有し、サポートを得ていると発表した。
流産体験による感情を率直に打ち明けられるツール
女性のリプロダクティブおよび母親のメンタルヘルスを専門とする臨床心理士のジェシカ・ズッカー(Jessica Zucker)氏は、2014年からソーシャルメディア「Instagram(インスタグラム)」を使ったキャンペーンを始めた。投稿者は、自身の流産体験をハッシュタグ「#ihadamiscarriage」にて投稿し、体験を共有する。
トーマス・ジェファーソン大学集団健康学部のエイミー・ヘンダーソン・ライリー(Amy Henderson Riley)准教授は流産を経験し、流産に対するサポートを探している際にキャンペーンを知った。ヘルスコミュニケーション研究者として、投稿された流産経験の寛大さ・誠実性に強い感銘を受けた。
同氏が率いる研究チームがインスタグラムの投稿200件を対象に定性分析を行ったところ、インスタグラムには、流産経験を医学的および身体的に記述した投稿から、流産による感情的なスペクトル、感情処理の仕方、社会的側面、家族のアイデンティティに至る内容まで投稿されていた。
多くの女性とそのパートナーは、流産を経験することにより親としての自覚をもち、以降の妊娠にて子供を授かった後も流産経験は家族のアイデンティティに影響し続けることが判明した。流産は女性とその家族に影響を与えるが、一方、医療関係者らは、長く抱き続ける哀しみを軽視しがちであると指摘する。
インスタグラムを通して、特別なニーズのあるユーザーと流産体験の共有、医療情報の提供・交換ができる。インスタグラムなどのソーシャルメディアは、流産体験による感情を率直に打ち明けられるツールであり、必要なケア・サポートを得られる手段として活用されている。
(画像はプレスリリースより)

Thomas Jefferson University
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