体外受精が原因?リスクの高い多胎出産
近年、不妊治療によって多胎出産が増えていることは、既によく知られている。中でも体外受精は、一度の治療で複数の胚移植を行うことから、多胎出産の原因として考えられている。
しかし、多胎出産における医療介入の影響についての研究によると、体外受精は多胎出産の主要な原因ではないことがわかった。CNNに掲載された2013年12月4日の記事によると、体外受精ではなく、排卵誘発剤が多胎出産の原因のようだ。
米ブラウン大学アルパート・メディカル・スクールのエリ・アダシ医師は、リスクの高い多胎出産の傾向を止めるために、その方法について研究を始めていた。その結果によると、体外受精以外の方法による不妊治療が、多胎出産の原因になっていると述べている。
マサチューセッツ内科外科学会が発行する、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表されたこの研究では、不妊治療が行われる以前の、1962年から1966年の間で多胎出産した女性の人数と、1971年から2011年の間で多胎出産した女性の人数を比較した。また、体外受精によって生まれた子供の人数について分析した。
その結果、1971年から2009年の間では、双生児の出産数が1.9倍に増加していた。それに対して、三つ子以上の多胎児の出産数は、1971年から1998年の間で、6.7倍と著しく増加し、1998年から2011年の間で、29%減少していた。
移植胚数のガイドラインの効果
高度生殖補助医療学会が1998年に、体外受精での胚移植数についてガイドラインを発行しており、この年が多胎出産数のピークとなっていることから、このガイドラインが徹底された結果と考えられると、アダシ医師は述べている。データによると、3つ以上の胚移植は70%減少し、三つ子以上の多胎出産の割合は33%減少した。
体外受精によらない出産については、双生児出産数は、1998年の16%から2011年の19%に増加していた。また、三つ子出産数は、同期間で36%から45%に増加していた。
この結果から、現在の多胎出産の多さは、体外受精以外の主要な治療方法である、排卵誘発剤が原因として考えられる。
高額な体外受精に対して安価な排卵誘発剤
安価なことから現在もよく選ばれる排卵誘発剤には、リスクの高い多胎出産の可能性がある。よりよい不妊治療を選択できる体制が整うことに期待する。

CNN
http://edition.cnn.com/2013/12/04/health/The New England Journal of Medicine
http://www.nejm.org/