不妊治療の成功率に関する報告の義務化
1992年以降、医療機関はアメリカ疾病予防管理センター(CDC)へ不妊治療の成功率を報告するよう義務付けられている。不妊治療の成功率は、体外受精による出産成功件数と定義している。
合わせて、体外受精のサイクル数(1サイクルは60~90日、排卵誘発剤の投与から体外受精を経て受精卵移植までの期間)、体外受精における卵子の提供元(患者自身、第三者である卵子提供者)などの報告も求められている。
しかしながら、この報告義務は法律化されておらず、約10%の医療機関は報告を行っていない。また、妊娠・出産が困難なケースを除外するなど、各機関によってデータ算出方法が大きく異なる。
(画像はsart corsより)
データに基づく不妊治療の成功率
38歳から40歳までの女性が自身の凍結卵子を使用し、不妊治療により妊娠に至る確率は21.6%となる。アメリカ生殖補助技術協会(SART)によると、不妊治療費は各サイクル平均1万2400米ドルであるという。
データによると、体外受精により妊娠に至るまでの過程ではサイクル数に大差はないが、妊娠から出産までの過程ではサイクル数が大きく異なってくる。サイクル数が増すごとに、不妊治療を受けるカップルの金銭的負担、期間、精神的ストレスも増す。
より正確なデータを得るために
各医療機関によって不妊治療成功率の定義や成功率の算出方法が異なるため、多くの専門家が体外受精後の母体や胎児の健康状態など付加情報を提示するよう求めている。
現在、アメリカ生殖補助技術協会(SART)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)ではアルゴリズムに基づく年齢グループごとの統計データをオンライン上で公開している。
なお、早産、出生時の体重、先天性異常に関するデータはアメリカ生殖補助技術協会(SART)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)にて情報収集しているが、患者の機密情報となるため一般に公表できない。
体外受精治療におけるオンラインツールの正確性
オンラインツールでは、年齢・身長・体重・喫煙歴・妊娠前歴・医療診断・臨床診断・精液分析などに基づき、妊娠成功率を算出する。患者のデータは体外受精治療を受けている10万人以上のデータベースで比較されるため、より同一条件での比較が可能となる。
婦人科調査協会(the Society of Gynecologic Investigators)にて昨年発表された研究によると、オンラインツールに基づく妊娠成功率はアメリカ生殖補助技術協会(SART)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)より、はるかに正確であった。
オンラインツールにより、患者は不妊治療期間や治療費が予測でき、不妊治療の成功率を左右する健康面における要素を知ることができ、他者が妊娠・出産に至った場合の状況と自身の状況を比較することもできるという。

The New York Times Blog
http://well.blogs.nytimes.com/sart cors
https://www.sartcorsonline.com/