親の化学物質曝露による影響
8月8日、カリフォルニア大学デービス校(アメリカ)の研究チームは、プレスリリースにて、親の化学物質曝露と子供の自閉スペクトラム症(ASD)には関連性があり、子供の機能や発達に悪影響を及ぼすと示した。
妊娠3ヶ月前から出産までの期間、親が仕事や職場で化学物質曝露を受けることにより、子供に行動上の問題および発達の遅れが生じる可能性があるという。なお、研究論文は「International Journal of Hygiene and Environmental Health」に掲載されている。
親の化学物質曝露と子供の自閉スペクトラム症における関連性
研究チームは、米国立労働安全衛生研究(NIOSH)の協力のもと、大規模な自閉症研究「ChildHood Autism Risks from Genes and Environment(CHARGE )」を用いて500世帯以上の家族を対象に、親の化学物質曝露と子供の自閉スペクトラム症における関連性について検証した。
妊娠3ヶ月前から出産までの期間、両親の職歴に基づき仕事や職場での化学物質曝露量を推定したうえで、子供の自閉スペクトラム症の特性(社会的相互作用やコミュニケーション、行動特性など)を客観的に評価したところ、親の化学物質曝露によって子供に行動上の問題および発達の遅れが生じる可能性が認められた。
例えば、プラスチックならびにポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)など)曝露は、子供の認知能力や適応能力の低下、多動性や引きこもりをはじめとした行動問題の増加につながった。
あわせて、エチレンオキシド、フェノール曝露により、子供の日常生活能力は低下し、自閉スペクトラム症の重症度、多動性や反復動作などの行動問題は増加したという。
これより、妊娠3ヶ月前から出産までの期間、仕事や職場での化学物質曝露は、子供の自閉スペクトラム症の可能性だけでなく、障害の重症度、子供の機能や発達に影響を及ぼすといえる。
(画像はプレスリリースより)

UC DAVIS HEALTH
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