膿精子症が体外受精結果に与える影響
4月20日、世界最大規模の不妊治療グループ「IVI-RMA」(アメリカ)などは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)を行う体外受精サイクルにおいて、膿精液症(白血球精液症)が出生率に対して否定的な影響を与えることはないと発表した。
膿精子症とは精液に膿(白血球)が多く混じっている病態であり、精液1ml内に100万以上の白血球が存在する場合、膿精子症と定義される。精液中の白血球が増加すると、精子数の減少や精子運動率の低下を引き起こす。それゆえ、膿精子症は、男性不妊の一因となる。
膿精子症と体外受精の出生率における関係性
研究チームは、2012年1月から2021年12月の期間、不妊治療5425サイクルを対象にレトロスペクティブスタディ(後ろ向き研究)を実施し、膿精子症と体外受精の出生率における関係性を検証した。
対象群(膿精子症の男性)とコントロール群(健康な男性)を比較したところ、胚移植1回目の出生率に差異は認められなかった。
また、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)にて異数性率(染色体数が変異している確率)に僅かな違いが確認されたものの、両群の臨床妊娠率、持続的な着床率、受精率ならびに胞胚形成率は同じであったという。
これより、研究チームは、不妊治療の開始前に膿精子症と診断されたうえで、着床前胚染色体異数性検査を受けて体外受精を行う場合、膿精子症が体外受精結果に否定的な影響を与えることはないと結論付ける。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)
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